【感想・評価】「7人の名探偵」を紹介!7人の名探偵による超本格ミステリ

7人の名探偵

本格ミステリの代表的な作家たち7人の短編が詰まった「7人の名探偵」。

新本格と言われた綾辻行人の「十角館の殺人」が出てから30周年を記念する作品が本作品です。

十角館の殺人を知らない方は下記記事をお読みください。

7つの短編が入っているため、様々な作品を楽しめます。

また、長編ものが苦手な方にも読みやすくとても面白いのでおすすめ!

今回は「7人の名探偵」のそれぞれのあらすじと読んだ感想を紹介していきます。

目次

「7人の名探偵」の概要

概要
  • 書籍名:7人の名探偵
  • 著者名:綾辻行人ほか
  • ページ数:全431ページ
  • ミステリジャンル:本格ミステリ、短編集

「7人の名探偵」のそれぞれのあらすじを紹介

本作品は7人の作家さんたちが1つずつ出して、計7作品の短編集となっているのです。

それぞれのあらすじを軽く紹介していきます。

水曜日と金曜日が嫌い

物語の「私」が山中に迷っているところに、大きな洋館を見つけた。

事情を説明し、洋館に入れてもらえることとなり休んでいると、事件が起こる。

ある小屋へ入っていった人物と小屋から出てきた人物が違うことに不信を抱いた私が小屋へ見に行くと、血が飛び散り凶器が置いてあった。

その後にお風呂場で洋館の主人の義理の娘が亡くなっているところをメイドが発見。

そんな中、探偵であるメルカトルが登場。

メルカトルは事件を解決することができるのか?

毒饅頭怖い

「饅頭怖い」という古典落語をミステリにした内容。

饅頭が好物の湯井大拙が5人の息子たちを叱っている際に饅頭を食べて亡くなりました。

最後に「5人の息子の中に2人の噓つきがいる」と「毒饅頭怖い」と言った。

息子たちの中に犯人はいるのか?

また、噓つきの2人は誰なのか?

プロジェクト:シャーロック

警視庁のある一人の男により始まった犯罪捜査をするAI「シャーロック」。

男の名前は木崎。

木崎は改変OKとしてシャーロックを公開していた。

様々な人がシャーロックに手を加え、完成するころには「シグマ」と名前と呼ばれた。

シグマを使っての警察の捜査が主流とまったが、宿敵「モリアーティ」がAIとして誕生してしまった。

シグマはモリアーティを止めることができるのか?

船長が死んだ夜

作家有栖川有栖のもとに火村英生から電話があった。

火村の手伝いで温泉街までやってきたが、火村の会う約束をした人と急遽会えないことに。

そんな中、テレビで殺人事件が起こったことを知る。

場所が泊まっていた旅館から近かったため、2人で行くことに。

殺害されたのは町に住む元船長。

元船長と2人の女性の間に何やら関係があったそう。

火村は犯人を突き止めることができるのか?

あべこべの遺書

2つの現場で遺書が見つかった。

遺書があるということは自殺だと推測できるが、実は遺書の内容が2つの現場で入れ違いになっているのだ。

また、2つの現場で亡くなった方たちはお互いを毛嫌いしていたそうで自殺かどうかも怪しい。

法月警視は息子である倫太郎に相談をし、2人で事件の解決に挑む。

天才少年の見た夢は

戦争がはじまった中、地下のシェルターに優秀な子供たちが身を隠していた。

外に出れない中、地下の部屋でまさかの首吊り遺体が発見される。

状況からして自殺と断定できそうだが、翌日にはまたもや首吊り遺体が。

次の遺体は首を絞めた跡があり、明らかに他殺であった。

そんな中、探偵の鷺宮藍は地上に弾道弾が落ち意識をなくしてしまう。

探偵不在の中で事件はどのように進むのか?

また解決までたどり着けるのか?

仮題・ぬえの密室

京大ミステリ研には「犯人あて小説」というものがあり、サークルの会員が発表することになっていた。

ある日に取材のため京大のミステリ研の部屋に綾辻行人、我孫子武丸、法月綸太郎の3人が集まった。

食事のあと綾辻邸へ行くこととなり、我孫子武丸が「幻の犯人あて」についてタクシーの中で話した。

「幻の犯人あて」は綾辻邸での話題となり、法月綸太郎も「聞いた覚えがある」という。

「幻の犯人あて」とはどのような作品だったのか?

「7人の名探偵」を読んだ感想

7作品を読了した感想をまとめました。

簡潔に書いていますので、気になる方はぜひ読んでみてください。

水曜日と金曜日が嫌い

とにかく事件発生から容疑者、探偵登場までが速い。

短編ですが、内容はかなり濃いものとなっています。

メルカトル登場から事件解決までスピーディーです。

メルカトルはまさに短編にふさわしい名探偵と言えるでしょう。

事件のトリック自体も面白いのでおすすめ!

日夜

気づいたら事件が解決してしまうというメルカトルのすごさには脱帽です!

助手のまめ

容疑者がそろっており、謎のメッセージが現場に残されているという本格ミステリを楽しめます!

毒饅頭怖い

「毒饅頭怖い」は江戸のお話。

江戸時代の言葉遣いなどがすごく時代を感じさせていて、歴史ものミステリとなっていました。

「饅頭怖い」が元となって作られた作品なので、親しみやすい作品だと感じる。

事件はもちろん本格ミステリ。

「殺人犯は誰なのか」と「5人の息子たちのうち2人の噓つきは誰なのか」という2つの要素を持っています。

ぜひ、犯人あて&噓つきあてを楽しんでください!

日夜

毒饅頭怖いのタイトル通りのセリフがまたミステリ感が出ていて良かったです。

助手のまめ

犯人あてだけじゃない要素がまた面白い!

プロジェクト:シャーロック

まさに現代の特徴を取り入れた「AI」のお話です。

「AI×本格ミステリ」はなかなか見ない珍しいものだと感じました。

犯罪を暴けるAIが登場すると未解決事件が解決されると同時に、人間のやる仕事はどんどん失われるのをしみじみ感じました。

ですが、未解決の難事件が解決するようになれば事件などが一気に減ることも期待できそうです。

誰か頭の良い方、シャーロック・ホームズのAIを作ってください!

日夜

個人的には7作品の中で一番特徴的で面白いと思った作品でした!

助手のまめ

AIという新たな要素が加わっているのがまたいい味を出していますね!

船長が死んだ夜

有栖川有栖の作品が好きな方には親しみのある火村英生が登場します。

私は今作が初めてですが、火村の推理はすごい。

状況から推理し、またはたくさんの方からの聞き込みから徐々に犯人を割り出していく。

まさに探偵の常識を着実にこなしていくタイプの探偵だと感じました。

船長が死んだ家では明らかに他殺ながら犯人の正体が分からないと警察が悩んでいたところをスムーズに解決する。

日夜

少ない手がかりからの鮮やか推理に脱帽しました!

助手のまめ

有栖川有栖自身も出てくるのはいいですね!

あべこべの遺書

遺書が入れ替わっているという発想がとにかくワクワクさせるような作品でした。

遺書とは自殺をする際に用いられるもので、お互いの遺書が入れ違いになっているとびっくり。

本格ミステリなので、なぜ遺書が入れ替わっているのかを推理するのが楽しかったです。

また、法月警視から「なぜ遺書が入れ替わっているのか?」の問いに倫太郎が自分なりの推理を披露している場面で、「あ、なるほど!そういう考えもできるか!」という風に納得しました。

物語中では終始結末が気になって仕方ない作品でした。

日夜

遺書があるけど殺人というミステリはたくさんありますが、遺書が入れ替わっているという発想はあまりないですね!

助手のまめ

結末にはとても納得できる内容でしたのでぜひお読みください。

天才少年の見た夢は

シェルターというクローズドサークル下で起こる殺人はハラハラドキドキです。

クローズドサークルとは下記になります。

クローズド・サークル(closed circle)とは、ミステリ用語としては、何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品を指す。

Wikipedia

また、探偵が不在の時に限っての事件なので誰が犯人なのか考えさせられます。

最後には衝撃のラストが待っているのでお楽しみに!

日夜

探偵鷲宮藍の不在中の事件を乗り切ることができるのかが見どころ

助手のまめ

最後は本当にびっくりです!

仮題・ぬえの密室

まず、京大のミステリ研が気になりました!

犯人あてゲームがあるというのはいいですね。

物語の感想としては、終盤まで謎が多く最後に勢い良く伏線を回収しまくるという綾辻ワールドが短編でも健在でした。

綾辻行人といえば、長編の館ミステリで有名ですが、短編の物語もかなり面白かったです。

日夜

幻の作品を綾辻行人たちが追うという物語がまた違ったミステリ感で楽しめました!

助手のまめ

仮題・ぬえの密室すごく気になる!

まとめ

7人の名探偵は作家さんそれぞれの特徴が色濃く出ており、とても面白い作品でした。

本作品を読んで「この方の長編を読んでみたいな」と思ったりもしたので、試しに読んでみるにはちょうどいい具合の短編です。

1日1物語でも1週間で読めてしまうのでサクッと読めます。

ぜひ、「7人の名探偵」をお読みください。

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この記事を書いた人

謎好きの日夜と申します。推理ものが好きで月に2~3冊読んでいます!特に好きなのが綾辻行人館シリーズ。おすすめの推理小説を紹介しています!!

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